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2025年の法改正②「4号特例の縮小」リフォームにどう影響するの?

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皆様こんにちは。
東村山で注文住宅を建て続けて38年の株式会社大黒屋です。

前回のコラムでは、2025年4月の法改正、「4号特例の縮小」について、ご説明いたしました。引き続き今回のコラムでは、既存住宅のリフォーム・リノベーションをする方に向けて、確認申請対象工事の場合、事前に知っておいた方がいいこと、また対象外の工事内容についてまとめています。具体的にどんな影響があるのか、確認していきましょう。

 

 4号特例の縮小

確認申請時、4号建築物だけ申請内容が緩和されていた特例が、2025年4月から法改正によって縮小されます。「4号特例縮小」の背景や法改正の詳細についてはこちらのコラムにございますので、事前にご覧ください。

2025年の法改正①「4号特例の縮小」について解説! | Re:暮らし KIDUTSUMI RENOVATION

 現行の場合、4号建築物のリフォームは、新築以上に申請が緩和されており、多くのお家では申請をせずにリフォームをすることができていました。

 〈現行で確認申請が必要な工事〉
10㎡以上、または防火地域や準防火地域での増築
・非木造、または3階建て以上の建物の大規模なリフォーム

 今後はこれらの特殊なリフォームに加え、大規模修繕・大規模模様替えをする際にも確認申請が必要になります。では大規模修繕・大規模模様替えとはどういった工事でしょうか。

 

具体的な工事内容

〈対象の工事〉
・大規模修繕
主要構造部(壁////屋根/階段)の一種以上を、経年劣化した構造部に対して、同じ位置に同じ形状、寸法、素材の材料を使って現状維持を図ること

・大規模模様替え
主要構造部(壁////屋根/階段)の一種以上を、建築物の構造・規模・機能の同一性を損なわない範囲で改造すること。現状維持を目的とせず、性能向上を図ること

 上記の工事を20254月以降に着工したお家から、確認申請の対象となります。
この場合、金額や期間の負担などが発生してしまうため、なるべく負担は抑えたいものです。現行のように法改正後も申請せずに行える工事も多くありますので、主要構造部ごとにご紹介いたします。

 

【屋根】

屋根においての大規模(過半)は、面積で決まります。
・既存の屋根の上に新しい屋根をかぶせるカバー工法

 

【外壁】

外壁においての大規模(過半)は、全体の面積で決まります。

 〈内側からの施工〉
・クロスの張替や断熱材の交換

 

対象外の工事:https://www.mlit.go.jp/common/001766698.pdf

 〈外側からの施工〉
・既存の材の上に重ねるカバー工法
・サイディングの張替や防水シートの張替
(対象外の工事であっても、お家全体を工事する場合は確認申請を求められる場合があります。)
・塗装のみ
*パネル下地材も兼ねている場合「構造体」と判断されるので申請が必要です。
(お家により異なります。)

 

対象外の工事:https://www.mlit.go.jp/common/001766698.pdf

 

【床】

床においての大規模(過半)は、面積で決まります。
・既存の材の上に重ねるカバー工法

対象外の工事:https://www.mlit.go.jp/common/001766698.pdf

 

【柱・梁】

柱・梁においての大規模(過半)は、それぞれの本数で決まります。

 【階段】

階段においての大規模(過半)は、段数で決まります。
・既存の材の上に重ねるカバー工法
・過半に至らない範囲ではり替える場合

 

対象外の工事:https://www.mlit.go.jp/common/001766698.pdf

 その他これらのリフォームは対象外です。
・トイレやキッチン、お風呂などの設備交換
・バリアフリー化のための手すりやスロープの設置
・クロス張り替え、構造に影響しない床の張り替えなどの内装工事

確認申請が不要な工事についてご紹介しましたが、例外もあります。
国土交通省は、改修後の建築物が構造耐力上又は防火上安全であることが明らかでない場合には、設計にあたり構造安全性の確認又は防耐火性能等の確保が必要としており、既存住宅の状態によって、対応が変わることも覚えておきましょう。
特に築24年以上の(2000年5月以前に建てられた)住宅は、現行すら満たしていません。リフォームを検討の際は構造面などの改修が求められる可能性が高いため、余裕持って計画することが大切です。

法改正のメリット

4号特例の縮小は耐震を重視した改正内容となっているため、構造面や安全性に関わる部分の規則が増えています。お家を支える重要な構造部の工事をする際に、施工主以外の確認が入るため、より施工の精度が高まります。今後作るお家は、耐震性能が向上したお家になっていきますので、安心できる暮らしを送ることができます。


また、新たに省エネ適判申請という、建築確認申請とは別の申請義務が増えました。それにより確認申請時、省エネ適判申請に合格した証明の「適合判定通知書」が必要になります。省エネ適判申請は断熱材や窓、空調設備、照明器具などに性能基準を設け判断するというものです。
今後は耐震性に加え効率よくエネルギーを使う高性能住宅が一般化していきます。

 〈増築〉
増築の場合、現行では増築する箇所だけでなく建物全体が省エネ基準に適合する必要がありました。対し法改正後は、増築部分のみ省エネ適合義務となりますので、以前よりも緩和されます。また増改築部分の床面積が10㎡未満の場合は、省エネ基準適合義務の対象外となります。

 

確認申請書類

これからのリフォームを検討されている方は、確認申請に必要な以下の書類と法改正後の注意点を確認しておくと安心です。

〈必要書類一例〉
・使用構造材料一覧
・基礎/地盤説明書
・各階平面図等
・仕様表等
・構造詳細図等
・適合判定通知書

まずは書類ですが、既存住宅のものが必要なので、新築した建築会社以外でリノベをお願いする場合は、お客様ご自身での用意が必要です。

平面図などの図面関係書類以外にも、既存住宅の構造計算書等も確認申請書類に加わります。構造計算書は、お家の耐震性が分かる書類ですが、こちらは4号特例の現行では行政への提出義務がありませんでした。そのため管理は施工元の設計士が保存するよう義務図けられています。今後の法改正では、確認申請の対象となるため、ご用意ください。

 

今後の注意点

リフォームでは新築と違い、既存のお家がどのように建てられたかによって、工事の内容が左右します。先ほどご紹介した書類が残っていた場合でも、実際の建築物に不備や欠陥があった場合は、想定外の工事が発生することや、希望の工事ができない場合もあります。そのような今後の注意点を先に抑えておきましょう。

 

【再建築不可物件】

 

引用:https://wakearipro.com/no-reconstruction-possibility/?gad_source=1&gclid=CjwKCAiA9vS6BhA9EiwAJpnXw2j6AxZbSlQCAunNr0ZNrGS7EH9uJR0wvboWvrw-kMninMTZgKW72BoCyu4QAvD_BwE#toc3

 現行では建築物は幅4m以上の道路に2m以上接していなければならいないという接道義務があります。1950年の法改正以前に建てられた、今の法律に即さない土地は、お家を取り壊した後の土地に再び建築することができません。
加えて法改正後は、大規模な修繕・模様替えをする場合も、建築確認申請が必要になります。今後このような土地に再建築・増築・大規模な修繕は審査に通らないので注意が必要です。確認申請が不要な範囲での工事は、これまで同様可能です。

【違反建築物】

違反建築物とは、建てられた当時の規則にも違反している住宅を指します。この場合、欠陥部分を改修した後、本来の工事に進むことができます。それにより、予定外の工事が発生し、工期が大幅に長引くことや費用が大幅にかかること、最悪の場合は希望した工事ができない可能性もあります。違反建築物は、いざ工事が始まり構造部分が見えてからわかる施工中のミスが多いため、図面上では判別が難しいものです。まずは可能性だけ知っていただければと思います。

【既存不適格建築物】

既存不適格建築物とは、建築当時は合法的に建てられていたが、法改正や都市計画の変更などにより現在の基準を満たさなくなった建築を指します。今回の法改正からは、構造計算が確認申請に含まれるようになるため、「許容応力度計算」が成り立っていないお家は、「既存不適格建築物」となります。

建築基準法は何度も改正されているため、基本的に建築時の基準に適合していれば良いとされています。違法建築物とは違い、今まで通りの工事を行うことが可能ですのでご安心ください。ですが、既存不適格のお家は、資産価値が下がってしまうため、今後暮らし続ける方や売却を考えている方も、新しい法律に適応するリフォームをお勧めいたします。

 これまで多くのリフォームが対象外だったため、新築よりも早く計画を進めることができていましたが、申請の対象化に伴い、確認審査では、35日以内の法定審査期間が必要です。20254月以降に大規模修繕・模様替えの工事に着手した場合対象となりますので、期間に余裕を持った計画が必要になります。また不明点などの相談に乗ってくれる建築会社を見つけることも大切です。

 

まとめ

2025年4月の法改正に向けて、事前に準備をしておくと安心です。
これからのお家づくりは、新築もリフォームも、より安心できる工事になりますので、これを機にお家の高性能化を検討してみてください。
専門的な話が多く難しいお話が多かったと思いますが、最後までお読みいただきありがとうございました。

 お家についてより詳しく知りたい方は、ぜひRe:暮らしにご相談ください。お家の図面をお持ちいただけた方は、お客様に合わせてより詳しくご説明いたします。

 

 

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