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2025年の法改正①「4号特例の縮小」について解説!

  • コラム
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皆様こんにちは。
今回からRe:暮らしでは、リノベーションやリフォームを検討されている方に向けて、お家の豆知識をお届けいたします。

皆様は来年2025年4月から、法改正により今までの木造住宅の基準から大きく変わることをご存じでしょうか? コラムでは、二回に分けて法改正についてお話いたします。
今回は法改正の内容と、お家づくり全体がどう変化するのか、そして次回は既存住宅のリフォーム・リノベーションをする方に向けて、具体的な対象外の工事と、規制対象の工事前に準備しておいた方がいいことをまとめて解説していきますので、合わせてご参照ください。今後お家づくりを検討されている方、特に既存のお家のリフォーム・リノベーションを考えている方は大きく関わる内容になります。

 

4号特例

引用:住宅:建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し – 国土交通省

【4号建築物】
建築物は、規模や構造によって1号から4号までに区分けがされています。基準は材質や規模です。建築物は木造や鉄鋼造、鉄筋コンクリートなど、様々な材質で建てられています。中でも4号建築物とは、木造建築のさらに規模によって分けられた建物です。現在ある木造建築の八割が、この4号建築物に当たるといわれています。

【4号建築物の特例とは】
1号から4号までのうち4号建築物だけ、建築時に行政へ提出する「建築確認申請」の内容が緩和されていました。
2020年までは設計図書の保存義務がなく、構造計算の仕様規定を満たしていれば良かったので、建築士が建築する場合、2024年に保存が義務化されましたが、構造関係の資料提出の必要はありませんでした。この度2025年の法改正では、政府の見直しにより、提出が義務化となります。このような確認申請時に緩和されていた内容が縮小され、さらに区分けの変更と新しい申請義務が加わります。

【4号建築が特例になった背景】
4号特例は1983年に制定された、4号建築を建築する際、建築確認審査が緩和される制度です。この時期には、高度経済成長期を迎え、次々と木造二階建ての住戸が建築されました。そのため行政では膨大な数の確認審査を一棟一棟手作業で行っていました。ですが、人員不足や業務過多が問題になったことから、棟数が急上昇した4号建築物を対象に審査項目が一部減らされました。

【なぜ改正されるのか】
行政の審査がされない項目でも、他の建築同様、法律は守らなければなりません。その点の確認は、各設計士に任せられていました。
ここで問題となったのが欠陥住宅です。

例えばこちらの画像は筋交いと呼ばれる部材です。
家を支える柱と柱の間に筋交いを入れることで、地震が起きた際、建物の歪みを抑える役割があります。ですが写真の筋交いは、上部が切られ柱に届いていないため、本来の役割を果たしません。

4号建築物に特例が敷かれた後のお家は、構造計算等を確認する第三者がいないことから、一部の業者がこのような欠陥住宅を建ててしまったり、リフォームをしてより脆くなってしまうようなケースが増えてしまいました。そのため新築と、さらにはリフォームをする際にも、行政の確認が必要だと新たに規制の対象として見直しがされました。
今後の懸念として、現行で建てられた住宅の欠陥は、消費者側が見抜きにくい内部で隠蔽されている可能性が高いです。住み続けるうえで問題がなくとも、今後リフォームをしようとした時に問題が発生することも考えられます。(詳細は次回ご説明します。)

法改正前の20253月までに着工ができれば、現行のまま工事を進められるため、金額面や工期などの不安がある方は、早めに着工してしまうことも一つの手です。

 

4号特例の縮小

引用:4号チラシ.indd

【区分が変わる】
4号建築物は今後「新2号建築物」と「新3号建築物」の二つに分けられ、画像の青い枠の区分は緩和されています。つまり木造平屋で建てられた200㎡以下の「新3号建築物」だけが特例として簡易的な審査になり、一般的な木造二階建ての住宅を含む「新2号建築物」は審査が必要になるということです。

【4号特例縮小の開始時期】
2025年(令和7年)4月1日以降に、工事着工をした建物から対象となります。
そのため、3月中に工事を始めた場合、現行の4号特例の縮小が適応されます。

*根切り工事の様子

〈着工とみなされる新築工事〉
・杭打ち工事
・地盤改良工事
・山留め工事
・根切り工事

【これからのお家づくり】
ここまで不安点を多くご説明してしまいましたが、4号特例の縮小は「しっかり構造の確認をして、質の悪いお家は建てさせない!」「環境や住まう人に配慮したお家にしたい!」という思いから生まれた政策です。今後の不安もあるかと思いますが、今まで以上に高性能に住宅全体が変化していくという内容です。

そこで新しく加わったのが「省エネ適合義務」です。2050年カーボンニュートラル実現への取り組みに伴い、省エネ基準に則しているか確認をする申請が行われます。(後程ご説明いたします。)お家を建てる際には大きな安心材料になりますので、決して悪いことばかりではありません。

ここまでのポイント!
・緩和されていた項目が縮小、さらに新しい申請義務が加わる。
・リフォームの一部が新たに確認申請の対象となった。
・新三号建築物(木造平屋延床面積200㎡以下)だけが申請項目が緩和される。
・国が省エネ性能の向上を図り、これからの住宅はもっと省エネになる。

 

2025年4月以降の変更点

建物を建てる時には、様々な申請・検査を受けてお施主様のもとへ引き渡されます。
建築確認申請の対象項目が増え、規制が増えたことで、確認審査の法定審査期間が、「7日以内」→「35日以内」に変わります。今まで以上に時間がかかるため、こちらもご注意ください。

【建築確認申請】
建築確認申請では、建築予定の建物の書類から、建築基準法と自治体の条例に則しているか、行政が確認をします。こちらは設計士が、新築時に行政へ提出しているので、お家づくりをした方はご存じかもしれません。今後はリフォームも対象となり、工事内容によっては提出が必要となります。(次回ご説明いたします。)

引用:住宅:建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し – 国土交通省

2025年4月からの法改正後、新2号建築物は、確認申請に「構造審査」と「省エネ性能」が項目に加わり、現地確認、写真や証明書等の書類で審査がされます。

引用:4号チラシ.indd

また、急いで法改正前に4号建築物として構造関係規定などの審査省略をし、確認済証の交付を受けていても、完了検査の際に適合確認が必要となるケースがありますので、ご注意ください。

【省エネ適合義務制度】
今回新たに追加された「省エネ適合義務制度」についてです。
これまでの省エネ基準では、省エネ基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないという「努力義務」でした。建築をする際に、お施主様へ省エネ性能が向上する項目に関して説明をする義務です。こちらは2025年から「省エネ適合義務」へと変わります。省エネ適判申請を行い、適合判定通知書を確認申請時に提出する必要があります。

引用:住宅:【建築物省エネ法第11・12条】 適合性判定の手続き・審査の合理化について – 国土交通省

以前から2050年に向けたカーボンニュートラル宣言がされており、世界中で温室効果ガスの排出量を総合的にゼロにする取り組みが行われていました。また、日本政府が掲げた2030年度の目標が、温室効果ガス46%削減です。この二つの実現に向け、建築物分野においても、省エネ対策を一層強める必要がありました。そのため、今後のお家づくりでは使うエネルギー量を減少させるだけでなく、エネルギーを創る設備を導入するなどの工夫が求められます。

引用:家の価値が大きく変わる2025年4月から義務化される「省エネ基準適合」とは? | 月刊不動産 | 公益社団法人 全日本不動産協会

〈省エネ適判申請の基準〉
・外皮性能基準
・一次エネルギー消費量基準

〈省エネ適判の対象外〉
・床面積10㎡以下の新築・増築・改築
・居室を有しないこと、または高い開放性を有することにより空気調和設備を設ける必要がないもの
・歴史的建造物・文化財など
・応急仮設建築物、仮設興行場など
・国土交通省が認めた仕様基準を満たす場合

2025年4月よりも前に工事着手予定で建築確認の確認済証を受け取った場合でも、工事着手が2025年4月以降となった場合は、完了検査時に省エネ基準への適合確認が必要となりますので、ご注意ください。

【完了検査】
「完了検査」とは、建築確認申請どおりに工事が行われたかどうかを現地で確認する検査のことです。検査に合格した「検査済証」が交付されていました。
「検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限」の適用は4号建築物にはありませんでしたが、新二号建築物では、建築基準法に則し、検査済証が出るまで、引き渡しが不可(使用禁止)となります。検査で指摘があった場合や、変更を求められた場合は引き渡しの時期が延びてしまう可能性もあるため、建築主は余裕をもって完了検査を行うことが大切です。

法改正後に着工した場合、確認申請を提出し「確認済証」が下りていても、検査や計画変更前に構造審査や省エネ審査等の追加審査を必要とします。法改正前後に施工する場合はご注意ください。

ここまでのポイント!
・建築確認の申請項目が増える。
・提出書類が増える。
・お家の計画から引き渡しまでにこれまでよりも時間がかかる。

 

まとめ                                        

2025年の法改正では、住宅の基準が大きく変化し、高性能で安心できるお家づくりへと好転していきます。一方、確認の手間や期間が増えていくことで、今まで以上に不便さを感じることも増えると考えられます。今後は早い段階からお家づくりについて考えて動くことが大切になりますので、不安な方はRe:暮らしにご相談ください。

次回はリノベーション・リフォームをする際、規制の対象外になる具体的な工事内容、そして規制対象の工事をする前に準備しておいた方がいいことなど、皆様が気になることを解説いたします。事前に知っておくと便利な情報が沢山ございますので、ぜひご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

Re:暮らしではお家づくりに大切な情報をこれから発信していきます。また新築について知りたい方は「木づつみ」のHPの記事もぜひご覧ください。

コラム | 東村山の工務店 大黒屋「木づつみ」

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